keyの最新作「 Rewrite 」メインスタッフインタビュー、 第1弾ではシナリオ担当の都乃河勇人さんに色々とお話を伺いました が、続いては企画・原案を担当した樋上いたるさんのインタビューです。 樋上さんといえばkey作品には欠かせない原画家であり、 直筆サイン入りのTシャツがオークションで100万円以上 になるほどの人気原画家です。「Rewrite」での作業はもちろん、普段の仕事への取り組み方もかなり気になるところなので、そのあたりについても聞いてきました。 G: 都乃河さんへの質問と同じところからスタートですが、仕事をするときにプロとして気を付けていること、心がけていることってありますか? 樋上いたる(以下、樋): うーん…… 都乃河勇人(以下、都): 読者を意識する、でいいんじゃないんですか? 樋: えー?……描けない絵とかでも、描かないといけないというか、体調が悪くても何があっても仕事だから描かないといけないっていうのは、仕事とプライベートで描くのはしんどさが違う。 G: 今まで、ウルトラ超しんどいけど、仕事だから描かないといけないっていうことは何回かあったんですか? 樋: 結構ありますよ。あと、「絵描きだから描けるだろう」みたいなものも……絵描きでも苦手な構図はあったりするんですけど。 G: そういうのを無視して、描けるだろうって感じでくるんですか? 樋: でも、やっぱり「この絵が欲しいんです」って言われたらその絵を描くように努力はするので、大変……仕事は大変かなぁ。 都: いつもいつもすみません…… G: 描くのが大変すぎるとか、今までで困ったことはありますか?なんか、いっぱいありそうですけど…… 樋: (笑) G: 直近だとどうでしょうか。 樋: 一番最初にRewriteで描いた原画が「ちはやが木に引っ掛かっている」というやつで、その「木に引っ掛かっている」というのが理解できなかったです。転がってきて木に引っ掛かるってどういう状態?って。 G: 転がって木に引っ掛かる!? 樋: すごい相談して「こう?」みたいな感じでやったりしました。 都: 思い出しました。椅子にこういう感じで立ってもらえますみたいな、ポーズとったりしましたね。 G: その時は、発注主、言った張本人に聞きに行くってことですか? 樋: そうですね。そこで、どういうポーズかを……よくポーズしてもらうよね? 都: そうそう。ものすごいキリッとしたポーズとかもよくとりますね。 G: 「キリッとしたポーズ」ってどんなポーズですか? 都: Rewriteだと作中に鳳咲夜というキャラがいるんですが、イケメンキャラなんで割といいポーズを取るわけですよ。そのいいポーズっていうのをこういう感じでって実演してみせて。 G: 実演してみせたものを目に焼き付けて、ああこんな感じってやるんですか? 樋: そうですね。 G: へぇー……大変ですね。そんな感じの無茶ブリが来ているんですね(笑) 樋: はい、やっぱりシナリオさんがこういう絵が欲しいっていうのに合わせた方がいいと思っているんですけど、発注書を見ただけだと自分の想像している絵と違う時があるんですね。なので、なるべく詳しく聞いて、欲しいと思っている絵に近づける。 G: なるほど、そういうやりとりになってるんですね。逆に、こういうのは割とスムーズに描けるっていうのはあるんですか? 都: 顔アップとかじゃないんですかね? 樋: 顔アップ……(笑)顔アップは割と楽ですね(笑) G: 顔アップが簡単……言われてみれば気づきますけど、言われるまではなかなか気づきませんね。 G: シーンによりけりだと思うんですが、1枚描くのにどれくらい時間がかかるんですか? 樋: どれぐらい…… 制作進行・藤井知貴(以下、藤): ものすごい差がでますよね。 樋: そうなんですよね。 藤: えっとー……時間かかるんだったらほんと3~4営業日ぐらいは平気でかかったりしますし、かかんないやつだったら、ラフとクリーンアップ全部込みでも2日かかってないですし。 G: すごい差がでますね。その差が出る理由ってなんなんですか? 樋: うーん……キャラが一杯いるかいないかとか、あと、髪の毛がなびいているかいないかとか。 藤: 物理的な手間が一番大きいです。 樋: そういう絵的なところで、手間かかるものが変わってくるので。 G: 確かに、ビジュアルスタイルのインタビューの中でも、髪の毛がなびいてるのが大変みたいな話がありましたね。 樋: 今回ロングヘアーばっかりなんで(笑) G: めちゃめちゃ大変ですね。 樋: しかも制服も、描きにくい制服なんですよ…… G: ひらひらですもんね。 樋: 描くたびに「しまったー!」って思っちゃうんですよ(笑) G: 一番最初のデザインは、自分でされたんですか? 樋: そうですね。 G: その時に、これは後々描くときに大変だろうとは思いませんでした?(笑) 樋: いや、これは気に入ってるから決まり!……ってやったんですけど、原画で実際描き出すと、これは時間がかかると(笑)見栄えを良くするためにヒラヒラを広げちゃうので、もう更に時間がかかる……。 G: 服のせいで時間がかかるから大変になり、さらに髪の毛は長いわ、服はヒラヒラだわと。ということは、Rewriteは今まで描いた中でも特に時間がかかっている方ですか? 樋: そうですね。原画自体も今までよりちょっと大きいサイズになってるんで。 G: 横長になったってことですか? 樋: はい。それで時間もかかるっていうのもあるんですけども。 G: ちなみに、この表紙の場合、どれぐらいの時間がかかったんですか? 樋: それは……うーん、どれぐらいかな。 藤: でも、ラフ早かったですよ大分。私これ確認したときにラフもうできてたんですよ。「えぇ、もう!?」って感じで。 樋: そうそう。時間ある時に描いてたやつなんで。ゲーム中の絵は発注をもらってから描くので、考える時間とかも結構かかることがあるんですけど。表紙の絵とかは好きに描かせてもらっているんで、それほど時間はかからないですね。 藤: 発注自体は、キャラと服でしたよね。 樋: そう。どのキャラで、制服を着てるか着ていないか。 G: 実際、昔から絵をずっと描いてると露骨に絵の差があるじゃないですか。描いていたら「自分、昔と比べたら上手くなってるな」というのはわかるものですか? 樋: 昔の絵とかを見ると、こういう絵も描けてたんだって思いますね、「あれ、どんどん描けていけなくなってる?」って(笑) なんか、わかんないんですけど、こういうポーズを昔は描いていたんだって思いますね。 G: 実際、いろんなポーズを描くときはいろんな資料を見たりするんですか?それとも、頭の中でぐるぐる回転させて描くんですか?描く人によって色々あるらしいんですが。 樋: 絵とか写真とかをとりあえずガーッと見て、そっからそれをなんとなく頭の中でああしてこうしてって考えたやつを描くかなぁ……。やっぱり、最初に描くときはある程度いろんなものを見てから、想像を膨らませておくって感じですね。 G: 実際描くため、インスピレーションを得るために、やってることはありますか? 樋: うーん(笑) G: それとも何もしなくても、日々生きてるだけでそれを描けるって感じなんですかね? 樋: いやー、どうだろう…… 都: アニメとかよく見ますよね? 樋: アニメはよく見ます。 G: 最近だと何を見てますか? 樋: 今は「まど☆マギ」とか(笑) G: 絵はいつごろから描き始めたんですか?物心ついたころからですか? 樋: キャラクターを描きはじめたのは小学校のころからですね。 G: 低学年頃ですか? 樋: いやぁ、どのぐらいかは覚えてないですけど、高学年には確実に描いてましたね。 G: その頃は、シャーペンや鉛筆で描かれてたんですか? 樋: そうですね……ペン入れとかをしたことがあったはずです。 G: いつ頃ぐらいから、ペン入れとか始めたんですか? 樋: もう、小学校の頃には原稿用紙を買ってきて描いてたと思います。 G: え!すごいですね。その頃からイラストというよりはちょっと漫画を描いていたみたい感じですか? 樋: 漫画を描いてましたね。 G: 当時、漫画の原案の話とかどういう風に思いついたんですか? 樋: その時は少女マンガとかに影響を受けて描いていたと思います。 G: そのころから漫画もアニメも見てたって感じですか? 樋: アニメも結構好きで見てましたね。 G: 今回「Rewrite」では企画・原案となっていますが、原案のアイデアっていつごろぐらいから思いつき始めたんですか? 樋: やろうと思ったのは、「智代アフター」を開発してるぐらい……? 藤: 2004年4月に「CLANNAD」発売で、2005年11月に「智代アフター」発売です。 樋: じゃあ、2005年ぐらいかな。 都: でも、Rewriteの一番古いテキストとしては2004年のものがありましたよ。 藤: そのころは私も全く知らないですね。 都: 多分、本当に最初期のテキストだと思います。 G: 「こういう話をやりたい」っていうのは誰に持っていくんですか? 樋: 馬場社長 ですね……企画書が通らないと進められないので、まず企画書を作って「見てください」って出したのは覚えてますね。 G: それ以前にも企画書は何枚か出したんですか? 樋; いや……社長に見せたのは1回だけですね。 G: じゃあ、1回目で通ったんですか? 樋: その時は通らなかったですね。 G: 通らなかった!? 都: 通るようにそれをずっと一生懸命直してたんですよね。 樋: そうそう。「ここはこうしたほうがいいよ」って社長に言われて直したりしました。 G: じゃあ、言われるたびに直して持って行ってと何回か繰り返したんですか? 樋: いや、でもこの後持って行った記憶がない(笑) 都: きっとやる気を試していたんですよ(笑) 藤: でも、そのあとああでもないこうでもないって言い合ったのは覚えてますよ。企画会議しましたもん。 樋: 麻枝くんとも一緒に相談しながらやってた記憶も…… 藤: 最終的にロミオさんを連れてきて、あーでもないこーでもないとしている間に社長が「竜騎士07は連れて来られないか?」と言いだして、その流れです。 樋: ライターさん探すのにすごい苦労しましたね。 都: 色んなゲームプレイしてましたね。 樋: そう。色んなゲームをプレイして、麻枝くんの勧めるゲームとかもプレイして「じゃあ、ロミオさんに頼みたいです」って。でも、ロミオさんも結構忙しい人なので、絶対OKは出ないだろうなって思ったんですけど、書いてくれるということになり、自分の企画をロミオさんに送って、もうちょっと広げてもらおうってなったんですよ。 G: Twitterを始めたきっかけはなんですか?公式サイトはご自身も認める「放置プレイ」ということで有名ですけど。 樋: たぶん、社長が変なことをよくつぶやいているというので、それを見るために入りました。 都: 同じ同じ(笑) 樋: だから、一番最初のフォロワーは社長。 都: 最初は監視塔的なアイテムだったんですね。 G: なるほど。みんなで発言を監視するために。 都: 社長のTwitter自体は面白いと思うんですよ。 G: 爆弾発言がぼわぼわと…… 都: すっごいひやひやするんですよね。中にいる人間としては。 G: 外にいる人間にはわからないけど、中の人間はひやひやしてると。 都: それで、みんな大喜びしてるからまあいいか、ってなったりするんですけど、「それは後で俺が言いたかったのにな」っていうのもあったり。「WEB体験版今考えてます」とか。俺が言いたかったのに。 藤: 「それ、まだ言ったらアカンのになー、どうしたらいんやろう……まぁいいや、ほっとこう」って。「なんか社長が書いているですけど」っていわれても「気にしないでください」って(笑) G: これだと確かに社長を監視しないとダメかも知れませんね。あと、うちでも一度記事にしたんですが、 樋上いたる直筆のサイン入りTシャツが100万円の値段がついた とか、とんでもないことがちょいちょい起こってるんですが、ああいうニュースはどう思いますか? 樋: うーん…… 都: プレゼントとしてもらったものなので、それを売りに出すのは……っていう思いはありますね。 G: 最後の質問なんですが、今後こういうようなものをやりたいっていうのはありますか? 樋: あります。 G: どういうようなことなんですか? 樋: ……言えない……(笑)心の中にはありますね。 G: やりたいことというのは、そのうち我々も見れるようなものなのか、そうでないのか…… 樋: どうですかねー……(笑) G: それは描いてる時に考えたりするのか、山ほどかかえているものなのか。突然思いつくものなんですかね? 樋: なんか、ふと「あ、こういうの作りたい」とか「こういう絵が描きたい」っていうのをよくお風呂に入ってる時とか、ぼーっとしてる時に思いついたりしますね。 G: それを聞いて全く別の質問なんですが、夢に色ってついてますか? 樋: ついてます。 G: やっぱりそうなんですね、だいたい絵を描く人ってほとんどカラーなんですよね。 樋: あ、そうなんですか!え、でもカラーじゃない? 都: ぼくの夢もカラーですね。逆に、モノクロの夢っていうのが分からないですよ。カラーだって言い切れるのは、小っちゃい頃に筋斗雲に乗ってる夢を見て、その筋斗雲が必ず黄色いので。 G: それ、完全にドラゴンボールの影響ですね(笑) 都: 小学生の頃、何故か1年に1回ぐらい筋斗雲の夢を見るんですよ。でも俺、絶対乗れないんですよ。クリリンと一緒で悟空の背中に必死でしがみついてて。 G: 夢ってよく覚えているほうですか? 樋: 朝起きたときは覚えてるんですけど。ほぼ毎晩みてる…… G: 毎晩みて、朝起きて忘れる……と 樋: そうですね。起きてすぐは覚えてるんですけど、動き始めると忘れちゃう。アニメのキャラとかよく夢に出てきました。 G: なるほど(笑)あと、いろいろ調べても載ってなかったんですが、好きな食べ物はなんですか? 樋: 食べ物は、よく焼肉食べたいって言ってます。 都: うん、いっつも言ってますね。 G: 「焼肉食べたい」って言っていつも行けてますか? 都: 「……すまん」っていうときもありますね。 藤: 時々行ってますよ。 樋: 時々。 藤: 肉コールがたまにメッセージで届くんですよ(笑) 樋: 「にくー、にくー」って。 G: 肉は牛肉、豚肉、鶏肉と何でも好きなんですか? 樋: はい、なんでも好きです。 G: 好きな飲み物はあるんですか? 樋: 飲み物。特にはないですね……普段よく飲むものもないですし。 G: じゃあ、あまり好き嫌いはない方なんですね。 樋: いや、ありますよ。魚が嫌いなんで。 G: 魚全般ですか? 樋: 小骨が多い魚……骨が多くて分けられないからそれごと食べるような魚。 G: めざしとか、ししゃもとか? 樋: そういうのも食べれないし、あとウナギとかも。 G: じゃあ、ハモとかも? 樋: ハモはね、骨切りのうまいとこじゃないとだめ……(笑) G: すごい贅沢な発言(笑) 樋: 口の中でちくっとしたら、もう呑み込めないんで。昔、骨が刺さった近所の子が血をびゅーっと吐いていて、それを見てからトラウマになって。 G: それはもう完全にトラウマになりますね。 樋: だから、魚は…… G: じゃあ、刺身とかは? 樋: 刺身は大丈夫です。 G: 完全に骨がアウトなんですね。 都: だから、完全に骨をはずしたら食べれるんですよね。 樋: そう。だから、居酒屋さんとかでホッケとかでたら「とりあえず骨外して」みたいな感じで頼みます。 G: じゃあ、骨を外してもらってから。 樋: 身だけこう、お皿にぽこって入れてもらって。 G: どこかのお姫様みたですね(笑)なるほど。 絵を描くにあたっては、始めからソフトを使って描くんですか?それとも、アナログで描いてから、取り込むんですか? 樋: 描くときは……紙ですね。紙で線画までおこして、取り込んだ後に、修正とかごみ処理とかします。 G: 使っているパソコンはスペックが高いかどうかとか気にするんですか?それともそういうのを気にせず作業さえできればいい派ですか? 都: えっと、樋上さんはあんまりわからないので、周りで用意しました。 藤: そこそこいいやつですよね。 都: そこそこどころか、発売当時のハイエンドとまではいかないけれど、それに迫るようなものですね。 G: なるほど。お話、ありがとうございました。 最後は折戸伸治さんに話を聞いていきます。